浮気している男性にとって、妻とはどのような存在なのでしょうか。
浮気夫にとって妻とは
もし夫が自分という妻がありながら、別の女性と不倫行為をしていたとしたら……
あなたは「妻である私は、夫にとってどういう存在なのだろうか」と疑問に思うことでしょう。
多くの浮気夫の生態をお聞きしている立場として、「浮気中の男性にとって妻とはどういう存在だと認識しているのか?」についてまとめてみました。
妻は家族
浮気夫は、妻のことを、家族だと思っています。
もちろん実際に家族なのですが、妻が夫を家族と思う感覚よりも、もう少し「自分を主としたイエの中に所属している人」という感覚が強いようです。
だから、自分が浮気をしても、妻は家族だから…身内だから、自分の浮気がバレたとしても、その悪事を外(会社とか)にバラすこともないし、いつか許してもらえると思っています。
妻は子どもの母親
お子さんがいる家庭であれば、浮気夫にとって妻は「我が家の子どもの母親」という認識でいます。
本来子どもというのは両親が育てるものですが、我が家の子ども(俺の子ども)の養育責任者は妻だと思っています。
ですから自分は勝手に浮気をしているくせに、子どもの母親である妻にはそれを許さないし、絶対に妻が浮気をすることは無いだろうと思いこんでいます。
また、もし自分の浮気がバレても、子どもの母親である妻が、父親である自分を棄てて離婚をして「子どもから父親を奪う」ようなことはしないだろう、という奇妙な論理で安心しきっています。
妻は自分の一部
妻と自分を同一視して、妻を自分の一部と思っている夫がいます。(これは、女性にもそういう人がいます。)
自分の配偶者と自分との境界線があいまいで、無意識に自分と配偶者を一緒の人だと思ってしまっている現象です。
浮気夫の場合、妻は自分の一部なので、自分がやっている浮気という犯罪行為そのものまで、勝手に妻に連帯責任を負わせることがあります。
都合の悪い展開になると、「一緒に乗り越えよう」とか言って、自分の罪を一緒に償わせようとしたり、浮気事件から再構築している最中にも「一緒に前を向いて歩こう」みたいに、自分と妻は同じ方向を向いている同じ人だ、といった主張をしてくることがあります。
妻は生活を支えあうパートナー
妻は、家計を共にして、生活を支えあうパートナーだと思っています。これは浮気夫にかぎらず、ほとんどの日本人男女が、配偶者に対して持っている感覚ですね。
妻は自分を全部受け入れてくれる大地(母親)のような存在
妻のことを、まるで母親のように、自分のすべてを受け入れて支えてくれる存在だと思い込んでいる浮気夫がいます。
私が実際にお聞きしている浮気夫の事例では、この思考回路を持っている人が非常に多いです。
奥さんのことを、母親のような存在だと思っているのです。
もちろん、意識上では「妻」としているのですが、無意識レベルでは、自分の母親・養育者・母なる大地・庇護者……表現は何であれ、自分を無条件で愛し、無条件で支えてくれる存在だと勝手に決め込んでいるのです。
そういう未熟な幼児的男性だからこそ、浮気ができるわけですが……。
そんな感覚ですから、浮気や風俗通いを隠そうともせず堂々と奥さんに言ってしまう人もいるし、隠しているつもりでも脇が甘いのですぐにバレ。
バレても幼児のように謝れば許してもらえると思い。許してもらえないと駄々をこね。
最終的には、ママに怒られたけどママは許してくれるはずだ、といった幼稚園児のような顔つきをして、奥さんが自分を温かく引き寄せてくれることを期待するのです。
浮気夫に抜けている視点
一方、浮気夫から見た「妻」という存在の中で、すっぽりと抜け落ちている視点があります。それは
妻も一人の女性
妻は、単なる家族のメンバーではなく、一人の女性であるという認識が抜け落ちています。
そのため、自分が浮気をすることで、どれだけ妻の女性性を傷つけるのかがわからないのです。
そして、妻は女性である、という感覚がないために、たとえば男性の性的な冗談を平気で言ったり、「風俗なんて浮気じゃない、スポーツみたいなもんだ。女にとってエステとかと同じ感覚なんだよ」みたいな、男性にしか理解できないような無神経なことを言ったりします。
さらに、自分の浮気を正当化するために、妻に対して「お前とはレスだし…女として見れない」のようなことを、軽い気持ちで発言します。
この言葉がどれだけ妻の女性性を破壊するか、まったくわからないのも、妻が女性であることへの理解と尊重が足りないからです。
また、一部の浮気夫が「お前とのセックスに満足できない(だから浮気した)」のような発言をしますが、夫婦のセックスはどちらかがどちらかを満足させるものではありませんよね?
妻だけが、夫を性的に満足させるために努力をしなければならないのでしょうか?
まるで男性である自分だけが性的に奉仕されるべき存在で、妻の性的満足には何の配慮もしなくていいかのような態度の浮気夫がいますが、それも、妻の女性性を軽視している感覚からきていると思います。
妻は夫の母親ではない
妻が、自分のすべてを受け入れるべき母親ではないし、庇護者でも支援者でもないことが、わかっていない浮気夫は多いです。
結婚して家族になり、子どもが生まれると、都合のいいときだけ「自分も妻の子ども」みたいな感覚になっているわけですが……
そもそも家庭とは男女が夫と妻となり、子どもたちを養育する環境を作る場であって、自分まで妻の精神的庇護下に置かれるわけがないという、当たり前のことを忘れてしまっています。
浮気がバレれば、現実では、離婚を選ぶ妻は多いし、浮気発覚から妻の夫への愛が冷め、冷淡な態度に変わることも多いのですが、それに対して「何故だ!なぜ僕を許してくれないんだ?」みたいに逆ギレをするのです。
当たり前でしょ…と誰からも言われるのに、浮気夫本人は、いつまでも「許してくれない妻(ママ)」を理解できないのです。
妻は実のところ、他人
夫婦は、実のところ他人です。
浮気事件の無い夫婦であれば、愛と信頼で結びついているのですが、浮気事件が起これば、いきなり「私たちはそもそも他人だわ」という空気に変わります。
サレた側は、「夫婦なんてしょせん他人だ」という感覚にすぐ変化しますが、シタ側は、その感覚になるのが遅いです。
- 浮気しても家族でしょ?
- 浮気したけど…俺たち夫婦じゃん!
- 浮気したからって俺たちの今まで積み上げてきたものがあるでしょ?
- 俺の浮気くらいで家庭崩壊なんて変だよ、子どもたちどうするの?
みたいに、自分のしたことを棚にあげて、「自分たちは夫婦!家族!」と主張する浮気夫。
でも、真実を言えば、夫婦はしょせん、赤の他人なのです。
愛と信頼を土台にして成り立っている関係であって、どちらかが信頼を裏切れば、他人に戻るのは当たり前のことです。
「浮気夫にとっての妻」を変えるのは、夫の精神的成長
このように、浮気夫が認識している「妻」には一般の感覚とのズレがあり、このズレた感覚こそが、浮気の原因の一つだと思います。
この感覚をひっくるめて表現してしまうと「自分勝手で幼稚な感覚」と言えそうですね。
こういった浮気夫が、奥さんとの再構築をしていく間に、一人の男性として人として、精神的に成長するのであれば、おそらくそのご夫婦には、新しい絆が芽生えてくることでしょう。
しかし、浮気夫が自分勝手な幼児のままなのに、妻だけが努力をすることで再構築をしようとすると……?
ますます浮気夫の自分勝手さに拍車がかかり、ますます幼児性が強くなるだけです。
浮気夫にとって妻の存在がどうであるか?は、妻が変わるのではなく、夫本人が成長することでしか変えられませんからね。
ですから奥さんが、浮気夫にとって愛しき存在に変わろうと、変な努力をするのは悪循環です。
そうではなく、いかに浮気夫が、「自分が認識している妻」への意識を変えていけるか。
そこに、浮気からの夫婦再構築の成否がかかっているのではないかと思います。