夫の浮気が発覚してから、紆余曲折を経て、さまざまな修羅場をくぐり。
奥さんが自分を取り戻し「私たち夫婦は、これでいい」と感じる程度に夫と修復するまで。(あるいは前向きな気持ちで離婚を決めるまで)
浮気された妻には、大きな心のダメージと、そこからの回復の過程があります。
浮気問題の乗り越え方は本当に個人差があるのですが、一般的にどのような心の状態になって、どのように回復して乗り越えていくものでしょうか。
浮気された=大事な人を失ったのと同程度心にダメージを負う
夫が浮気しているという状況は、妻にとって、大事な人を亡くしたときと同じくらい、心にダメージを与えます。(対象喪失といいます)
まさに、「私を愛し、将来を誓ってくれた、大事な伴侶」だと思っていた夫が、「別の女にうつつを抜かし、私をだまし苦しめる加害者」に変化するわけですから。
奥さんにとっては大事な人が死んでしまったと同じですよね。
人によっては……むしろ旦那が死んでしまったという状況の方が、早く立ち直れるだろうな……という方もいます。
お亡くなりであれば、時間の経過とともに心は癒されていきますが、浮気夫は死んでおらず、引き続き奥さんを傷つけ続けるわけですからね。
奥さんのケアをしていると
「いっそ旦那が、浮気発覚と同時に死んでてくれれば良かったのに、と思います」
と、本当に多くの方がおっしゃいます。。。
それはさておき。「浮気された」という状況の中、奥さんたちは以下のような心の過程を経て、次第に乗り越えて、そして新しい道へと歩んでいきます。
- 第一段階:茫然自失になる「ショック期」
- 第二段階:正常な判断ができない「サレラリ期」
- 第三段階:怒りが湧いてくる「叩き期」
- 第四段階:再度悲しみに沈む「現実受け入れ期」
- 第五段階:回復して自分を取り戻す「再生期」
これは対象喪失後の、一般的な心の回復過程なのですが、だいたい順番は決まっています。
第二段階と第三段階は逆になる人もいますが、第四と第五は必ずこの順番で発現します。
時期によってどのような反応が出るか。
そのときにスムーズに乗り越えるにはどうしたらいいか。
その時期には避けた方が良い行動は何か。
順番に見ていきましょう。
今どん底状態の方であっても、かならず光が見えてくる日が来ますからね。
第一段階:茫然自失になる「ショック期」
浮気発覚から約1週間くらい、ショックで心が麻痺して、何も考えられないとか、現実を生きている感覚がなくなってしまうことがあります。
反応は人によりますが、眠れない、食べれない、そのときの記憶がない、意味不明なことを言う、涙を流しながら笑うなどちぐはぐな感情が現れたりします。
一気に体重が激減したり白髪が激増したり。
逆に過食・過眠になる人もいます。
要するにショック状態ということですね。
この時期に気を付けること
この時期はとにかく心をいたわり、何も行動しない方がいいです。
不眠がひどい方は内科に行って眠れるお薬をもらうことをお勧めします。
食べなくても大丈夫ですが、眠らないと一層この時期は辛くなります。
夫の浮気事件について、誰かに相談するのもこの時期は避けた方がいいかも?と思います。
なぜなら混乱しがちだし、まだ奥さんに行動する気力がないところで他人から何か助言されても、動けないですよね?
そんな葛藤をするハメになれば、余計気力が奪われますから、他者に相談するのも具体的な行動をするのも全部保留して、心身の回復に専念したほうがいいです。
多少の元気が戻ってきたら、証拠集めとか夫の言動を観察するくらいから始めるといいです。
まれに、この時期に奥さんがショック状態から大暴発して、火事場のクソぢからで夫と不倫女に突撃し、一瞬で関係を終わらせた、という事例を聞きます。
ただ、そういう展開になるのは本当に稀だし、成功率は少ないと思います。
言うまでもないですが、この時期には重大な判断はしてはいけないです。
離婚も別居も保留しましょう。
後悔の可能性大です。
そこまでいかなくても、探偵や弁護士に依頼するのもこの時期はお勧めしません。。。
とくに、焦って探偵に相談すると高額を吹っ掛けられますので、注意です。
また、ショック状態なのはわかるのですが、強引に夫に問い詰めすぎるのもできるだけ避けて欲しいです。
無計画で問い詰めれば、おそらく水面下に潜るだけで解決にならないばかりか、不倫者を警戒させるため、その後の対応がしにくくなります。
さらに、この時期の奥さんは相当心身が参っている状況でヒスって夫に対峙すると、ご主人が本気で奥さんの態度に怖れをなして、夫婦関係の溝が深まることがあります。
ですからある程度回復したな、と感じられるまで、問い詰めも我慢なさった方がいいです。
どうしても誰かに相談したい場合は、冷静で聞き上手な友人か、心理系カウンセラーがいいでしょう。
身内や適当な友人に相談してしまうと、「そんな夫とは離婚しなよ」「離婚したくないなら許すしかないわ」みたいな極端なことを言われ葛藤することもありますので
相談するとしたら、ひたすら話を聞いてくれて、辛い気持ちを受け止めてくれる人を選んでください。
また、この時期に無理して夫婦修復系カウンセラーに相談してしまうと
「不貞の証拠を集めなさい!」「夫に気に入られる女性になりなさい!」「夫婦コミュニケーションを学びなさい!」
と圧力をかけられると思いますが、この時期には心身共に負担が強すぎると思います。
第二段階:正常な判断ができない「サレラリ期」
第一段階を抜けて第二段階に入ると、いわゆる「サレラリ期」といわれる、おかしな心理状態になることが多いです。
正常な判断ができないために、浮気を否認したり、浮気された理由を探しまくって、堂々巡りになりやすいです。
まず、否認とは
- まさか夫が浮気なんかするわけない。何かの間違いだわ
- 夫は「一回ホテル入っただけ、部下が貧血で倒れて介抱してただけ」と言っている。多分そうだわ、信じよう
- 夫のカバンにコンドームが入っていたけど、夫は「ドラッグストアで試供品としてもらった」と言っている。多分そうだわ、信じよう
- 一度きりの浮気だし、夫はバカじゃないから、すぐ不倫なんかやめるわ。多分そうだわ、信じよう。
不倫事件そのものを認めず否定したり。
夫が言うありえないほど低レベルな言い訳を信じて「浮気なんかしてなかった」と自分に言い聞かせたりするのが、否認です。
どなたもがご経験があるのではないでしょうか。
また、夫が浮気をした理由を、毎日毎日考え続ける、という現象も起こることがあります。
- レスだったから、浮気したんだ
- 私が出産後に4キロも太って魅力的ではなくなったからだ
- 子どもにかかりっきりで、夫を構ってあげなかったからだ
- 夫はそのときストレスが溜まって、そのはけ口を求めて浮気したんだ
- 女に誘われたからだ、ヤリマン女にひっかかったに違いないわ
サレラリ期は、普通に考えたらありえないような、おかしなことを考えてしまうものです。
ただこれは、少しずつ心が回復して気力が戻ってきている証拠ですからね。
この時期の期間は非常に個人差があって、2週間くらいでサレラリ卒業される人もいますし、3年以上ずっとサレラリ状態の人もいます。
この時期に気を付けること
サレラリ期といわれる時期は、浮気夫の言葉や、世間の常識に振り回されます。
まだ思考力が正常ではない時期なので、簡単に人に騙されてしまうのは仕方がないです。
この時期に「自分は今、サレラリ状態で正常な判断はできていない」と、自分で気づける人はほとんどいません。
多くの方が後から、「あのとき私はサレラリでおかしかった」と振り返ることができるくらいです。
そのためこの時期にバカみたいな夫の言い分を信じて振り回されたり、騙されてしまって水面下を見抜けなかったりしても、ご自身を責めないことです。
仕方がないのだし、必ずサレラリもいつか醒めて、正しい判断力は戻ってくるし、後から挽回することもできますからね。
とはいえ、なるべく「まだ正しい判断ができないかも?」と感じるときは、人の言い分を鵜呑みにしないように、少し自制できるといいですね。
とくに浮気している夫は、妻に対してウソしかつけない状態にいるわけですから、夫の言動を信じすぎてしまわないように注意するといいでしょう。
この時期から、少しずつ現実的な浮気問題への現実的な対処を始める方が増えてくるはずです。
探偵を雇ったり、弁護士の無料相談を受けにいったり。
大いに結構ですが、上記のとおり「正常な判断はできていないかも?」ということを頭の片隅に置いておくといいですね。
探偵の言いなりの金額で、相談したその日に契約をしてしまわないように、引き続き気をつけてください。
さらに、無計画に弁護士の言うことを信じてしまうと、したくもない離婚の方向へ誘導されていくこともありますので要注意です。
弁護士は夫婦関係修復の相談はあまり乗り気ではなく、むしろ、さっさと離婚させようとしてきます。
「離婚専門弁護士」はいっぱいいますけど、「夫婦修復専門弁護士」なんて皆無ですよね。
なぜなら離婚の代理人になった方が、儲かるからです。
正常な判断ができないときに、無料相談を受けまくると、他者のビジネスのカモになるだけで、望んだ結果が得られないので慎重にしましょう。
また、この時期には浮気された理由を探しまくるものですが、「夫が浮気した理由は、妻である私に原因がある」という論理を信じてしまうと、心の回復が遅れるし、問題がどんどん悪化することがあります。
ですからこの考え方にハマらないようにしてください。
夫婦修復サービスを利用するのもいいですが
「夫から愛される妻に生まれかわりなさい」「浮気されない魅力的な妻になる努力をしなさい」
のような助言ばかりのサービスは、この時期には受けないようにしましょう。(心が回復してからにしましょう)
なぜならそういうサービスは「奥さんが魅力がないせいで夫が浮気した」という思想が根底にあるからです。
夫の浮気の原因は妻にはないのに、そっちの方向に思考が傾くと、心の回復が遅れるし不倫問題は悪化します。
判断力が乏しくなる時期ではありますが、浮気の原因は妻ではないという考えだけは、ブレずに持っておいてください。
第三段階:怒りが湧いてくる「叩き期」
心の回復が進むと、今度は浮気されたということに対して、強烈な怒りを感じる時期がやってきます。
怒りの感情は、二次感情と言われている通り、本当の感情は悲しみです。
ただ、悲しみというのは本当に辛い感情なので、まだこの段階では受け止めることができません。
そのため、怒りという感情に姿をかえて、先に現れてきます。
怒りの対象は、浮気した夫に向けられることが多いですが、人によっては相手の女だけに怒りを向ける人もいますし、自分自身に対して怒る人もいるし、浮気が起こった環境に怒りを向ける人もいます。
- 浮気した夫を殺してやりたい、去勢してやりたい!
- 夫の浮気に今まで気づけなかった私……なんてバカなんだろう?
- 不倫者二人の悪事を会社の人全員に伝えて公開処刑してやる
- 女の職場に乗り込んで不貞写真を掲示板に貼ってやりたい
- 女の実家に行って、親にバラしてやる
- 社内不倫を容認していた会社に腹が立つ、ネットに暴露記事を書いてやろうか
- 夫の浮気を知ってたのに教えてくれなかった友人がムカつく
このように、怒りと復讐心でメラメラ状態になるとき。
心はかなり回復してきて、エネルギーが戻ってきている証拠ですからね。
怒りと復讐心を抑えてしまう方もいますが、むしろ怒りは出るに任せた方が、回復が進みます。
本来、奥さんが夫の浮気について怒り狂うのは当たり前で、ショック期とサレラリ期は、それができなかっただけなのです。
この時期に気を付けること
怒りに支配されているときに、無計画に動きすぎると、当然、夫婦関係が悪化することがあります。
怒りの感情は出るに任せながらも、行動は慎重にする、というのがこの時期の注意点です。
証拠もないのに女に突撃してしまい、女から反撃をくらってしまうとか。
鬼の形相で浮気夫をやり込めてしまったために、夫から本気で嫌われてしまったり。
職場や友人にバラして大混乱に陥ったり。
離婚を前提としているのなら、怒りのエネルギーを利用して不倫者どもにギャフンと言わせてやる!!というのもいいですが
修復を目指しているのなら、行動するまえにしっかり準備をしないといけないです。
とはいえ怒ることができるほどに気力体力が戻ってきているのですから、このエネルギーを不倫解決のために使わない手はありませんよね。
無計画な突撃だけは避けるべきですが、いよいよ証拠集めをすすめたり、不倫者たちを追い込む準備を始めて欲しい時期です。
この頃には今まで見て見ぬ振りをしてきた奥さんも、堪忍袋の緒が切れて、不倫者たちに向き合う気持ちになるのではないでしょうか?
ぜひ行動を起こしてください。
あと、この時期にはすでに夫が浮気をやめ、修復の段階に入っているご夫婦もいらっしゃることでしょう。
夫が浮気をやめてから、奥さんの怒りが本格化することも多いくらいです。
そうなってくると、修復のためには「妻の怒りをどうコントロールするか」も、けっこう重要なテーマになります。
ただいずれにせよ、怒りを溜めないこと、ガマンしないこと、「怒りは悪い感情」とフタをしないように注意して欲しいです。
第四段階:再度悲しみに沈む「現実受け入れ期」
いよいよ回復の一歩手前で、ひどく悲しい気持ちになり、落ち込んだり鬱っぽくなったりする時期があります。
これは、悲しむことができるほどに、心が回復したということです。
そのため、今まで感じないように避けてきた悲しみが、どっと襲ってきます。
また、サレラリ期には見えていなかった夫の本性がはっきりわかったり。
すでに夫が浮気をやめて家庭に戻ってきているものの、反省の無い態度を見て絶望したり。
浮気をやめるようにさんざん行動しているのに状況が変わらず、諦めの境地に入っていたり。
状況もだいぶ変化しているし奥さんの疲れもたまっているので、悲しみの感情は深く、強く感じることでしょう。
この頃に本格的な鬱病を発症して治療を受け始める方も多いですし、悲しみに耐えきれず離婚や別居を選択される方もいます。
ただ、ここまで来たというのは、実はあと一歩で回復するという前段階なのです。
ですからどうか、この時期は悲しみに耐えてください。
悲しい気持ちを味わうというと不謹慎ですが……現実を受け止めながら、ご自身の「悲しい」という気持ちと向き合うことが大事です。
それができると、大きく心が成長して、精神的な自立が出来てきます。
この時期に気を付けること
生きる意味を見失ったり、強い悲しみに押しつぶされそうになる日々。
ショック期と似たようなメンタルの不調が現れる人もいるので、「暗闇がまたやってきた……いつまで続くんだろう?このままずっと、辛いままなのかも?」と、絶望するかもしれませんね。
さらに、他人からは
「いつまでクヨクヨしているの?」
「もう、不倫を許すか離婚するか、どっちかに決めたら?」
「いい加減、前を向かないとダメだよ」
と言われることも増え、それができない自分を責めてしまいがちです。
ただ、この頃の絶望感は、あと少しで霧が晴れたように楽になれますから、「いつまでも続くに違いない」と思い込まないようにしてください。
回復のためにとても大事な過程を進んでいるし、悲しめるという気力があるからこうなっているんだ、と思ってください。
離婚などの重大な決断も、もう少し保留にしてください。
第五段階:回復して自分を取り戻す「再生期」
第四段階で、辛いながらもしっかりご自身と向き合っているうちに、徐々に本当の意味で回復します。
回復というよりも、「別の意識を持った、別の人になる」という感覚かもしれません。
夫に対しても、違う目で観察できるようになってきます。
また、今までは夫がいないと生きていけないと思っていたのが、夫がいてもいなくてもどちらでも良いと思えるようになります。
夫と修復が出来たらそれも良いけど、夫がいなくても幸せに生きていける。
そんな境地になるのがこの時期です。
この時期に入ると、あれこれ考えなくても、自然と「ああ、私はこの道を選ぼう」と、自分の進むべき方向が分かるようになってくると思います。
その道がたとえどのような形であっても、「私は、これでいい。私たち夫婦は、これでいい」と、心のどこかから不思議と湧き上がってくる感じになります。
また、奥さんがここまで来ると、なぜか夫が急に浮気をやめて家庭に帰ってきたり、心から反省して奥さんとの修復に意欲的になったりすることがあります。
おそらく、奥さんの心が回復して本格的に自立してきたことに気づき、夫の側が「棄てられたくない」と焦るからではないかと思いますが、真相はよくわかりません。
それでも、このレベルにまで来た奥さんは、夫の変化にもそれほど一喜一憂することは無いでしょう。
正直、修復できようができまいがどちらでもいいし、夫の出方を見ながら、その都度自分にとって一番幸せな道を選ぼう、という感覚になっているからです。
相手の女に慰謝料請求などをするにしても、女への怒りの感情も収まっているので、復讐というより「お互いにケジメをつけて、前に進みたい」という気持ちになっています。
夫の浮気で受けた心の傷は回復するし状況は変わる。希望を持って!
夫の浮気から乗り越える過程について述べてきましたが、当然一人ひとりに違いがあるので、この通りにならないことも多いです。
どこかの過程が無い人もいるでしょうし、それぞれの過程がすごく軽い人や重い人、短期間で済む人や長期間かかる人もいることでしょう。
回復までに早い人は1年くらいですが、遅い人はそれこそ何年も、第二段階、第三段階あたりをグルグルする人もいます。
でも、生きている限り、心の傷は必ず回復しますから、希望を持っていてください。
そして、ご自身の心がどのように回復するか、知っておくといいのではないかと思います。
知っていれば、無駄に動揺しないですみますし、ご自身の回復力を信じることができると思います。
今どん底の状態でも、必ず気持ちは変化するし、不倫者たちの状況だって変化しますからね。